東京のある公園で中高生がたむろして騒ぐのがうるさいので、ある特定の周波数の音波が出る機械を取り付けて追っ払うことにした、とかいうニュースがありました。いやあ、すごいなぁ。公園に集まる人がうるさいとなると、行政はカラスやネズミに使うような方法まで使うんだ。
それよりも、18歳ぐらいまでの年代までは聞こえて、それ以上の年齢になると聞こえなくなる音があるとこのニュースで知り、やっぱり!とボクはひざを打ちました。ひそかにきっとそんな音があるんじゃないかと自分の体験から思っていたのだけれど、本当にあったんだ、と。
中高生が自発的に音楽を聴くことに目覚めると、結構ハードロックにハマる場合が多いのは今も昔もどうやら同じらしい。ヘビーメタルといわれる今はどんなバンドがそれに相当するのか、せいぜいボンジョヴィぐらいまでしか知りませんが、ボクたちの時代はジミヘンやツェッペリンだったし、クリームのライブもよかったけれどライブならやっぱりディープパープルだった、のですよね。
家でスピーカーから音を出して聴くにはあまりにヒンシュクだから、そんなレコードはヘッドホンで聴くものでした。ボリュームのダイヤルをぐいっと真上ぐらいまで回すと、ジミー・ペイジのギターは脳みその芯を刺すようだし、イアン・ギランのボーカルは頭の中でハウリングを起こす。でも、中高生にとってはそれがまた快感で、いつしかレコードは溝が擦り切れてしまうのでありました。
それが高校を卒業するころから、聴くレコードが少しずつ変わっていく。ギターの音もアンプで加工したメタリックな音よりも、しっとりとしたアコースティックが心地よくなっていきます。聞くジャンルもハードなロックばかりではなく、ブルースやカントリーに手を伸ばすようになる。そして気がつくと、耳を襲ってくるような音は避けるようになっていたのです。
そんな変遷には、感覚や感情の発達という面があったのかもしれない。でも、あのギンギンとした音が聴けなくなっていった理由は、きっと脳が受け入れなくなったためなのだろうと漠然と思っていました。ところが今度の公園のニュースで青少年にだけ聞こえる音があることを知り、音楽の趣味は年代によって変化していくことがおぼろげながら理由づけられるのだ、と勝手に決め付けてしまった。
そうか、中高生はヘビメタが好きなのはそんな音がよく聞こえるからなのだ。でも、演っている連中は中高生をはるかに超えて中高年になってもギンギンと演っている。それはなぜだろう?