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オルコネス谷を、上流に向かってムーラを走らせる。広い谷の中には、いくつかの踏み跡ができている。所々にムーラの糞が転がっているので、その踏み跡に入りさえすれば、ムーラはにおいにしたがって前に進んで行く。コンフレンシアの手前には1個所、濁流の渡渉がある。今回は水が少なく、ムーラも怖がることもなく渡りきることができた。1週間前の荷揚げの時には流量が思いのほか多く、渡るのに難儀したことがウソのようだ。 荷揚げの時は、この渡渉が大変だった。予想外に流量が多く、ザイルで確保しても渡るのは相当危険に思われた。今回のパーティは小柄な者が多いので、渡渉には不利だ。流れの強さにもよりけりだが、日本の沢のように水が澄んでいれば、ひざから腰までの深さでも渡れないことはない。しかしこの氷河からほど近い場所では、水は泥水のように濁っていて、深さを推し計ることができない。パーティの中で一番身長のある私がトップで渡ろうと試みたが、水が冷たい上にひざ上までの急流に渡りきれない。途方に暮れているところに、すでにコンフレンシアに着いていたガウチョが、ムーラを連れて迎えに来てくれた。きっと渡れないことを見越していたのだろう。ところが、ムーラの腹まで水が付くほどの深さにムーラも怖がってしまい、人を乗せたまま急流の真ん中で動かなくなってしまった。こうなるとムーラ自身も恐いのだろうが、乗っている人間も更に恐くなる。対岸からガウチョが手綱を引き、こちらがわからはムーラの尻をめがけて石を投げる。それでもムーラは動かない。業を煮やしたガウチョが、特大の鞭を取り出して水に入る。幅10cm、長さ1mはあろうかという平べったい鞭でムーラの尻を思い切りたたくと、ムーラは電気が走ったように身体を一瞬震わせ、意を決したようにようやく足を前に動かすのだった。 その時に比べれば、今回は拍子抜けするほど簡単に渡渉を終えた。コンフレンシアで待ち受けていたガウチョ達は、私を見るとムーラから降りるな、というしぐさをした。そして指で上流を指し、早く行けと指図するのだった。それは、おまえのペースは遅すぎるから休まずに先に行け、という意味だということはすぐに理解できた。こちらとしても、細い踏み跡を前のムーラの尻を見ながら、砂埃にまみれて付いていくよりも、勝手気ままなペースでムーラを走らせた方が楽だ。ムーラは歩きながらでも平気で排泄をする。前を歩いているムーラの尻尾が急に持ち上がったと思うと、その下に隠れていた肛門が現われ、ムリムリッと開いて糞がボロボロ出てくる。当然、生の匂いもかがされる。そんな場面をまた見せられるより、勝手に走る方がいいに決まっているからだ。 コンフレンシアから先、オルコネス谷はガラガラの岩だらけの河原になる。その中を車道くらいの広い踏み跡がまっすぐに上流に向かっている。ここでムーラを思いっきり走らせてみることにした。ムーラの腹を思い切りかかとで蹴る。ムーラは早足になる。この早足は揺れが激しい。さらに何度も蹴り続けると、ムーラは走り出す。しっかりとあぶみに体重をかけ、競馬の騎手のように腰を浮かせる。片手で手綱を握り、もう一方の手で鞍の突起を握りしめて体を支える。そして走る、走る、走る…。回りの景色と共に、西部劇のカウボーイになったような気分になる。爽快だ。 手綱を引くと、ムーラは走るのを止めた。今日のムーラは本当に聞き分けがいい。山に登りに来たはずなのに、こんなことまでができるとは予想だにしていなかった。そうだ、これは全てが予定外の行動なのだ。本来の行動予定から、自分ともうひとり、「インカの橋」で休んでいるTだけが、予定外の行動をせざるを得なくなったのだ。行動は予定外ではあったが、起きたことはあらかじめ想定していたことではあった。そして、その対処も想定通りにしただけのことだったのだが…。
by organic-cambio
| 2009-10-12 19:33
| 旅行記
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