干柿が白い粉を吹くようになって、いよいよ甘さが強くなってきた。干柿はわらの間に挟むように保存されているので、時間とともに乾燥が進んで甘さが凝縮されていく。私はこの干柿の甘さがなんとも好きで、前を通りがかるたびに誘いを断り切れず、ひとつ、またひとつ、と食べてしまう。
干柿を食べると、しばらくしてから身体に変化が表れる。きっと干柿のある成分が消化に伴ってある種の微生物と出会うと、身体の中で発酵が始まってしまうのだろう。それはもう強烈な現象で、風船に空気を吹き込んでから手を離したような状態で、止まらなくなってしまうのである。
少し前、詳しくはいつ頃だったか忘れてしまったけれど、牛のげっぷが地球温暖化の原因の一つだという、まことしやかな説がマスコミを賑わしたことがあった。その根拠とは次のようなことだった。
牛は胃から口に反芻して食べ物を消化する時に、多量のメタンガスが発生する。メタンガスには、二酸化炭素の23倍もの地球温暖化作用がある。牛は世界中で約13億頭いて、そのメタンガスの総量は地球上のメタンガス全体の25%に相当する。だから牛のゲップは地球温暖化の原因だ・・・。
ほんとかよ・・・? 牛にはいつもわが草食系息子がお世話になっているから、少し反論をしちゃうぞ。人間が下から出すガスにもメタンは含まれているそうだ。人間は世界中で牛の5倍もの数が生息している。その人間が毎日出すガスは、どうして地球温暖化の原因にならないんだ? 世界中で68億人もの人間が毎日こいているというのに、なんで誰も問題にしないんだ?
人間はいつも勝手なのだ。地球温暖化対策なんて言ったって、自分の身に影響が及ばない原因ばかり大騒ぎするものなのだ。自分たちだって毎日メタンを撒き散らしているくせに、牛のゲップばかりを問題にして責任を転嫁してやがる。
え? 人間が出すガスはわずかだし、ガスに含まれるメタンはごくわずかだ? 牛のゲップに比べたらほんのわずかにすぎない? そうか・・・じゃあ安心して毎日こいていいというわけだな。
しまった。干柿がおいしいというお話にするつもりだったのに、また下ネタになっちまった。 2010/1/26