今週の月曜の午後は、安曇野をうろついた。
上田に行こうかと思っていたのだが、どうも雪が降りそうなのでやめた。カミ雪(南岸低気圧で降る重い雪のことを信州ではカミ雪という)は降りだすとあっという間に積もる。だから峠は避けた方がいいという判断だったのだが、案の定、和田峠で大型トラックが坂を登れなくなって3時間も通行止めになったそうだ。
いくつかの道の駅で地元産品をふらふらと覗き、高瀬川沿いのオリンピック道路を豊科に向かっていると、右側の田んぼに何か白いものがたくさん群れている。「ん、なんじゃ?」 サギにしては少しでかい。首が長い。足が黒い。「ややや、これは白鳥じゃ」 急いで田圃道に右折して近寄ると、いくつかの田んぼに、それぞれ数十羽の白鳥がいた。田んぼでは餌付けされているらしく、濁った水の中に腐った白菜が見え隠れしている。休みの日にはたくさんの人が見に来るのだろう。田んぼの畦が固く踏み固められていた。
似合わない。白鳥が似合う風景ではない。
場所からして、豊科のダム湖にやってきた白鳥なのだろう。はるかシベリアから飛んできて、人家の合間の田んぼで濁った水に首を突っ込んで餌をあさっているなんて、哀れ白鳥落ちぶれたり。
諏訪湖にも白鳥がやってくるので、湖岸に寄進された餌を入れる冷蔵庫が置かれていることがあったけれど、諏訪湖の白鳥はこんな田んぼに群れたりしていなかった。たくさんのカモたちに餌を横取りされながらも、雪の八ヶ岳をバックに諏訪湖を泳ぐ白鳥はまだ美しかった。
でも、この田んぼの白鳥は見るに堪えない。
餌を求めるのが生き物の生業だけに、餌付けされればそこに集まるのは当然。でも、それでいいのか、と少しは考えたほうがいい。何でも人間の「善意」が喜ばれるとは限らない。野生の動物に餌をやるのは、小さな親切大きなお世話の典型なのだ。