この道祖神に至るまでには長い道のりがあった。昼前に店を出て、吹雪の勝弦峠を越えて「このはなや」で食事をした。さてどこへ行こうかと吹雪の善知鳥峠を越え、塩尻の山麓線から松本平を見やると、意外なことに松本は雪が降っていなかった。吹雪なので松本の店でも廻って歩くかと思っていた気分は一変して、急きょ山村ドライブに変更する。松本の市内を抜けて浅間温泉に近づくが、気分が乗らないのでぐるりと回って新橋から19号線へ。明科を過ぎて麻績へ向かうか生坂に向かうか迷ったが、そのまま19号をまっすぐに進む。生坂のトンネルの前を左に入って生坂村の中心部へ。特に印象に残るところもないのでそのまま19号へ戻る。その辺りで旧大岡村に向かおうかという気分がわいてきた。その先に大岡の道の駅があることを思い出し、そこへ向かう。トイレ休憩と地元産品荒らし。ところが今回は収穫があって、麻布をタオルやふきんに製品化している人のコーナーがあって、カミサンがバスタオルを求める。綿より肌触りも吸湿性もいいという麻は、まだそれほど製品化されていなだけに、扱いアイテムとして良いかもしれないと閃く。ネギ味噌を挟んだ「そばサンド」100円、おやきを薄くしたような「うす焼き」150円を買って大岡の地図を見ながら食べていると、藁の道祖神の絵が地図に載っていた。これを見て帰ろうと山を登り、大岡の村を抜けてたどり着いたのが、この道祖神。時にしてちょうど16:00。約3時間の彷徨の末であった。
この顔はどこかで見たことがある、という人を2つに分けることができると思う。
ひとつは、バンバ~ンとピストルを撃ちながら「タイホする!」というシーンを思い浮かべる人。40~60代の元男の子に多いはず。もうひとつは、いつかテレビで見たことがあるような気がする、というひと。女の人はこっちだと思う。
それにしても、見よ!このダイナミックな目と鼻と口。一度テレビで見ただけでもしっかりとおツムに残る実にインパクトのある造作である。ひょっとして赤塚不二夫は、目つながりのおまわりを描く前に、ほんとにこの道祖神を知っていたのかもしれない
後ろ姿は・・・、女の人が下着をいっぱい着込んだよう。見てはいけなかったかな。
浅利慶太に見つかったばかりに、長野オリンピックの開会式で世界中に顔のインパクトをばらまくことになったけれど、本来はアルプスを望む静かな山里の守り神なのである。