信州の野辺に初霜が降りた。日の出前の草原にはエノコロクサが真っ白。エノコロクサのエノコロとは犬ころのことらしい。ふさふさした毛玉のような穂を犬ころのしっぽに見立てたようだ。我が家のエノコロはこの草と同じようなしっぽをしているので、ナルホドと納得するのだが、洋犬や室内犬を飼っているお宅ではピンとこないかもしれない。
今年の秋は暖かい。エノコロクサをカメラに収めていると、モズが電線の上でギチギチ鳴いた。向かいの山でオナガの夫婦がギュイギュイ呼び合っている。柿の葉が落ちて柿の実が露わになった。山桑の葉はまだ青いけれど、この木は一晩で全部葉を落とすから、明日の朝は丸坊主になっているかもしれない。わが頭も丸坊主になって、朝の散歩には毛糸の帽子をかぶるようになった。ああ、今年もはや冬の入り口まで来てしまった。