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秋の古本古道具市の打ち合わせが始まり、今回のテーマは「昭和の暮らし」にしようという案が浮上している。昭和とひと口に言っても63年余りの長い時代だから、とてもひとくくりにはできない。戦前と戦後、高度成長期から安定成長期とさまざまな変貌を遂げた時代だった。昭和を知らない人たちには、主に高度成長期の古道具が人気を集めるのだろうと想像する。企画する側が子供だった頃だけに、あまり自分たちのノスタルジーに浸らないように企画を進めようと確認した。そうしないとジジイの昔ばなしで終わってしまいそうだから◆昭和の高度成長期からにわかに増えた風景のひとつに、コンクリートの壁があった。宅地を造成するために、道路を立体交差させるために、新たな鉄道を作るために、街中にコンクリートの壁が増えていった。東京の郊外をぐるりと回る武蔵野線ができたのが昭和40年代後半。郊外の畑地にコンクリートの壁で掘割を通し、コンクリートの足で高架を築き、コンクリートで作った駅舎にスレートの屋根、日中でも点ったままの無機質な蛍光灯の明かり。そんな「どこを見渡してもグレーばかりのモノトーン風景が、当時の最新建造物だった。その線路を中央線で使い古したオレンジ色の電車が、わずかな乗客を乗せて走る。東京の都市肥大化を見込んで作った将来のための鉄道だったらしいが、たまに乗る機会があっても、決して明るい未来を感じさせる風景には出会えない寂しい路線だった◆それから20年ほどして東京から信州に居を移すと、コンクリートの風景を目にすることは少なくなったが、地方の生活基盤がコンクリートに支えられていることを知ることになった。東京から名古屋から、ヒトもモノもコンクリートで作られた高速道路を通ってやってくる。高速道路は鉄道よりも歴史が浅い分、コンクリートで作られている割合は高い。中央線は明治時代の開通だから、山は迂回して川は鉄を組んだ橋で渡り、トンネルはレンガ造りだった。それに比べ、昭和の安定成長期に作られた中央道は、どこもかしこもコンクリートで作られている。山陰本線の旧余部鉄橋は、明治45年に完成した高さ41.5mの鉄骨を組み上げた橋。長野道の岡谷高架橋は、相和61年に完成した高さ50mのラーメン構造コンクリート橋。岡谷の上空にそびえる高架橋は、あの余部鉄橋より8.5mも高い。その橋を通って岡谷にヒトやモノのかなりの割合がやってくる。コンクリートの橋に街もわれらが店の物流も支えられている、と言って過言ではないのだ◆3年前の暮れに、中央道の笹子トンネルでコンクリートの天井が落ちる事故が起きた。岡谷の高架橋でもコンクリートがはがれて落ちた。コンクリートは半永久的な構造物のように見えるが、20年で1cmほどの劣化が進むものらしい。中央道の事故はコンクリートの劣化よりも、点検すべき個所を点検していなかったために、鉄骨の劣化を見逃していたことが原因だったという。どんな強固なものでも経年劣化は避けられない。だから、社会の基盤になる構造物は目に見えた劣化があろうがなかろうが、点検と保守を続けるもの。ところが、長期間にわたって何も問題のないことに慣れてしまうという、人間の劣化といえる現象が進んで中央道の事故が起きたように思える◆2年前から始めた古本古道具市で、あるいは周辺で行われている蚤の市のようなイベントで、昭和の暮らしや道具に注目が集まる理由がどこにあるのかを探り続けてきた。団塊の世代を中心にした戦後昭和の人たちがノスタルジーを感じるのとは違うテンションで、その時代を知らない世代が昭和の暮らしに目を輝かせる。何が魅力なのかはまだ解らないけれど、コンクリートに代表される体温を感じない無機質な構造に比べ、木や土を多用した天然素材の構造に温かみを感じていることがひとつの理由としてあるようだ。なぜそんな温かみを求めるかという欲求の基層についても想像してみると、パソコンやスマホなど進化のスピードが速いものに囲まれて育った世代が、もっと時間がゆっくりと動いていた時代、モノが進化するスピードよりも人間の能力が向上するスピードが勝っていた時代、人間の能力を補うものに囲まれて本来持っている能力がどんどん進化していた時代、に興味を抱いているのではないだろうか。
by organic-cambio
| 2015-07-21 15:36
| 店主の雑言
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