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このところ店のBGMは、70年代から80年代のポップスやロックに偏っています。先月まではジャズばかりでしたが、有料サイトから無料のインターネットラジオにしたためです。ジャズの無料チャンネルには「おたくの国では聞いちゃだめ」という制限が多いのです。ネットには国境がないものと思っていましたが、ラジオに関してはメールのアドレスで選別されてしまうようです。けちだね!
iTunesのインターネットラジオはカテゴリーごとに分かれていて、年代ごとのヒット曲ばかりをかける局がたくさんあります。主にアメリカの70年代を中心に選びますが、時々別のバンドを選択すると何語だかわからない曲が流れてきたりして、なかなか面白い。でも、いつも70年代のアメリカに戻ってしまうのは、その時代に最もラジオをよく聞いていて、耳慣れているからに他ありません。 70年代といえば私が中学生から高校生、大学生だった時代。物ごとを論理的に考えることなく、ただ感性の趣くままに過ごしていた時代(今もそのままだけど)。何をするにも傍らにラジオを置いて、FEN(米軍極東放送)から流れてくるアメリカで流行っている音楽を聴いていた時代。東京のAMラジオでは山口百恵やキャンディースだったが、FENからはイーグルスやドゥービーが流れてきた。 その時代の曲が耳に入るとオツムは瞬時にその年齢に戻る。懐かしいなんて思う暇もない。耳に入ったとたんにその時代と同じオツムになってしまう。そうか、だからネットラジオにはそんなカテゴリーのバンドがたくさん並んでいるのだな。70年代の自分たちは、親の世代が懐メロを聞いて思わず口ずさむのを哀れっぽい目つきで見ていたが、今の自分たちもそんな眼差しで見られているのかな。 目前に迫ったアメリカの大統領選挙は酷いものになってきました。争っている内容が、政策やビジョンより人格や品性の問題になってしまい、どちらが選ばれてもこれから4年間のアメリカは迷走しそうな気配です。日本の首相も相変わらずご都合主義に徹していて、あれだけ熱意を燃やしている憲法改正についてまともな議論を避けて通ろうとしています。どこの国も政治家は確実に劣化しています。 なぜなのか、なんて八百屋にはわかりません。でも、ネットの発達と無関係ではないだろうと感じています。ネットラジオでは「おたくの国では聞いちゃだめ」と線を引かれましたが、SNSやニュースにはもう国境がありません。そのおかげで、感覚的には国という縛りを感じることが少なくなっているだけに、つまらない政治家の勢力争いで物事が決まってしまう虚しさをなおさら感じるのです。 どこの国でも60代以上が政治を担い、20代は60代が想像もできない新しいことを始めようとしています。そのギャップは、60台が20台だった頃に感じた深さよりさらに深化している。そのギャップを昔の20代は同じ土俵で埋めようとして運動を繰り返したが、今の20代は同じ土俵に乗ることはしないでしょう。なぜなら、自分を表現する世界を仮想的世界に構築することができるから。 統治や政治といった社会的構造がない仮想的世界では、何だって言ったもの勝ち。言質を取られることはないし、取られそうになってもいくらだって逃げられます。全て自分の都合で言いたいことだけ言えばいい。あれっ、でもそれって今の政治家のやり方そのままじゃないですか? アメリカでも日本でも政治家はジジイだけれど、しっかり仮想的世界を取り込んじゃっているのだな。お調子者め。
by organic-cambio
| 2016-10-18 14:27
| 店主の雑言
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