どん底の話は重いのでちょっと後に回します。30周年も企画が進まないのでいったん置きます。何ごとにも飽きっぽいもんで、、、。気分を変えて犬の話。3年半の空白期間を置いて犬を家族に迎え、1年余りが経ちました。今まで子どもが小さかった頃を除けばいつも犬と一緒に暮らしていたので、犬も子どももついでに親もいない暮らしは身軽に感じました。好きに出かけられるし、本も読めたし。
ひょんなことで再び犬を飼うことになり、飼い始めて半年で夫婦と犬だけの暮らしとなり、濃厚な犬との関係が始まりました。今までは誰か他に犬と関係する家族がいて、自分と犬とはそのひとつの関係に過ぎなかったのに、今回はすべてに関わらなくてはならなくなりました。おまけに子犬から育てるために最初は家の中で飼わねばならず、いまだに外で暮らすように仕向けることができずにいます。
家の中で一緒に暮らすと犬も家族になります。何を思っているか、何を求めているかをこちらが斟酌するようになります。人間と生活のスタイルが違いますが、家族である以上はお互いが快適に暮らせるようにしなくてはなりません。犬の快適ばかりを実現するわけにはいかないので、犬もかなり我慢をすることになるけれど、外で暮らすよりは楽で豊かな暮らしをしているはず。わかってるのかな?
犬と家の中で暮らすにあたって徹底したことは、犬が人間のものを食べることがないように食べものを完全に分けることでした。そのおかげで人間が食べているものを欲しがってトラブルにならずに快適だし、犬の体にとっても良いはず。人間の食べものは、犬にとって刺激が強くて栄養過多なのです。トイレも全て外で済ませる。そのために雨でも雪でも、必ず一日2回は30分の散歩に連れて行く。
今は散歩の途中で歩行訓練を始めました。グイグイと引っ張って進むので、もっとゆっくりと人間のペースに合わせて歩けるように教えている最中。でも、人間の脇にぴったりと付かず離れず歩くことまでは求めません。犬を服従させるのが意図ではなくて、お互いに快適に歩けることが目的。都会の住宅地ではなくて畑と山の中を歩くのに、そんな厳しい関係は要らない。好きなように歩けばよい。
わが家の犬にはひとつ特技があって、脅かさない限り誰とでも接することができます。犬に触ったことがない小さな子が体に触ってもじっとしているし、初めて会った人でも優しく接すれば逃げることもない。しつこくなで続けるとさすがに困った顔をしますが、歯をむいて抗ったりせず目で助けを求めるだけ。だから店頭で看板犬を任せておいても安心。ご褒美にたっぷり湖畔を歩かせてやりますが。
こうして「犬は外」の禁を破って家の中で一緒に暮らすと、今までにはない豊かな時間が生まれてきました。外暮らしの方が犬の生理には合っているはずですが、犬にも精神や感情があるので暮らしの中で人間と共感するようになるとよい家族になります。そのためにまず「こうでなくてはならない」という人間の固定観念をはずさなくてはなりません。それでいいんだよ、と犬に教えてもらうのです。