八百屋の食卓が完成したのは2019年10月。お披露目が終わっていくつかのイベントを開催して、正月を越えてゆるゆる始めた途端にコロナ禍が始まりました。みんなで一緒に大きなテーブルを囲んで、ごはんを食べることで知らない人同士が家族のような時間を過ごす。それを契機に人がつながり食べものを通してどんな未来を望むのかを考えるきっかけが起きる場所、という目的は頓挫しました。
それからはや3年。大皿に盛った料理をみんなで分け合って食べるのはいまだにご法度ですが、みんなで一緒に食事をすることは少しずつできるようになりそうです。すぐに何かを始めようというほどまだ状況は甘くないのですが、少しずつ準備を始めようと思っています。いくつかのアイデアが3年の間に浮かんできていて、それをどう組み立てようかといくつもの草鞋を履きながら考えています。
ひとつは野菜の作り手と料理の作り手が食卓を作り上げるイベント。食べもの絵師の漆原さくらさんのイベントで試みたスタイルで、場所を畑まで延長してみたい。畑を見てからテーブルにつくと、その日にとれた野菜が美味しい料理になっている。そこに野菜の作り手と料理の作り手の話を加えて、その食卓をめぐるストーリーも一緒に味わう。畑のそばで八百屋の2階だからこそできるイベント。
テーマを前に出さずみんなで美味しいごはんを食べるだけでもいい時間を作れるはずです。そこでひとりずつ自己紹介をしながら、その日その時の家族のような時間を過ごせたら、この八百屋の食卓を作る際にイメージした姿になります。その企画をして予約を集めて実行するのは大変なエネルギーが必要で、地域と八百屋の仕事に加えて3足目の草鞋をどう履きこなすかが問題だ。過労死するかも。