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誰かが大声で話している。夢か…。いや、スペイン語だ。夢と現実のはざまを漂いながら、寝袋の中で寝返りを打つ。そうか、ここはベースキャンプだ。ひとりでテントに寝ていたのだ。大声が断続的に続いて、はっきりと眼が覚める。最後に『カンビオ』というところから、無線で交信しているのだろう。テントの生地は薄いので、外の声はさえぎることなく聞こえてしまう。『カンビオ』とは英語のchangeとほぼ同じ意味になるが、無線交信では会話を交代するときの『どうぞ』という意味も持っている。 無線で話しているのは、隣のテントの大学生たちだろう。地元のメンドーサから来た彼らが、仲間を呼び出しているらしいのだが、相手が出ないためかずっと呼び続けているのだ。おかげで、最後に一呼吸おいてから言う『カンビオ』が、頭にこびりついてしまった。 昨日は『インカの橋』から、ムーラに乗ってこのベースキャンプ(BC)のある『プラサ・デ・ムーラス(ムーラの広場)』に戻ってきた。私たちのテントには誰もいなかった。無線で呼び出すと、彼らは5200mのC1にいた。BCからの荷揚げを終え、一昨日からC1に上がったという。昨日は6000m辺りまで高度順化をし、3人とも頭がガンガンに痛い、といっていた。当初の予定では、今日はもう高度順化を全て終えているはずだった。1月6日の今日はBCで休養を終え、登頂のためにC1に上がる予定になっている。そして、8日か9日には登頂する計画だったのだから、私はすでに7日、他の3人にしても3日ほど予定から遅れてしまっている。果たして、ロスした時間は取り戻すことができるのだろうか。 BCを一人で出発する。たくさんのテントの間を抜け、電光型に急斜面を登っていく。今日は5200mのC1までの高度順化だ。BCが4300mだから、900mの高度差になる。まったく高度順化ができていない身体で、しかも昨日BCに一泊しただけで5200mまで上がるのは、かなりきつい。しかし、残された時間を考えると、多少無理をしない限り、他のメンバーに追いつく事はできない。 ざらざらの急斜面をひたすら登る。息が苦しい。ペースを変えずにゆっくりと足を前に出す。下には色とりどりのテントが並ぶBCが見える。その北側には上部オルコネス氷河が広がっている。踏み固められた電光型の道が、単調に続く。つまらない登りだ。まるで富士山の登りのようだ。しかし一歩一歩が、確実に高度を稼いでゆく。 C1まで4時間をかけてゆっくりと登る。頭が痛くなってきた。誰も居ないC1のテントに書置きを残し、BCに戻る。先行する3人は、今日も上を目指して荷揚げをしているようだ。 登ったばかりの道を、今度はゆっくりと下ってゆく。単調な道だから、走るように降りれば1時間あまりで、BCまで着いてしまうだろう。ところが、そんなに早く下ると、急な気圧変化で高度障害が激しくなってしまう。頭痛が激しくなってきた。ゆっくりと下らなくてはならないのだが、激しい頭痛が足を早めさせてしまう。BCのテント村につくと、さまざまな言葉の挨拶が飛んでくる。『どこから下りてきた?』、『上は風が出てきたかい?』…。答える気にもなれない。頭が割れるように痛い。一度経験した事とはいえ、予想通りのこととはいえ、このひどい頭痛は本当につらい。 BCのテントに転がり込む。ゆっくり歩いたつもりだったのだが、2時間弱で着いてしまった。簡単な夕食を済ませて、早く寝る事にする。今回の遠征にはさまざまな無償提供があり、某食品メーカーからはインスタントの玄米かゆを1ケースも頂いた。フリーズドライで軽いので、上部キャンプで使おうと思っていたのだが、今日は特別だ。そういえば昼の行動食だった『カロリーメイト』も、無償で提供を受けたものだった。あとで礼状を『インカの橋』で売っていた絵葉書で書かなくてはならない。 1月7日。またしても『カンビオ』攻撃で目がさめた。頭痛はまだ残っているが、じきに治まっていくだろう。C1に向けて一人で歩き出す。BCのテントはあとでTが戻って来た時のために、張り置きにしておく。また、様々な言葉の挨拶がやってくる。英語・スペイン語まではわかるが、ドイツ語・フランス語になるともうお手上げだ。にっこり笑って手を振り、ごまかしておく。 赤茶色の斜面を、今日もまた登っていく。下ってくるパーティが多い。大きなザックを担いで下ってくるのは、もう行動を終えて帰るパーティだ。「(登頂に)成功したか?」とたずねると、ほとんどが「登った」という。真夏とはいえ、いったん天気が崩れればかなりの雪を覚悟しなくてはならないだけに、天気に恵まれたのが大きかったのだろう。乾燥地帯とはいえ、5000mより上部では周期的に天気が崩れる。天気が崩れると、厄介なのは雪もさることながら、強い風だ。今、天気が安定しているということは、やがて崩れるという証でもある。何とか私たちが登頂するまでは、天気が安定していて欲しいものだが…。 昨日と同じ4時間ほどで、C1に着く。5日ぶりに、ようやく別行動の3人に追いついた。昨日の無線交信では、今日も彼ら3人は6000mあたりまで高度順化に出ているはずだ。ところが、C1のテントを開けると、Hが一人で寝袋に入って休んでいる。2~3日前から胃が痛み出し、今日はとうとう休んでしまったのだという。なんということだ。またしても体調不良だ。ようやく私が追いついたと思ったら、今度はまた一人脱落か。 ほかの二人、SとOは予定通りに動いているという。こうなったら、登れるやつをどんどん動かして、一気に登ってしまうしかない。私はザックをテントにほうり込むと、そのまま上部に向かって歩き始めた。少しでも高度順化を進めておきたい。5500m位まででも登っておけば、明日の行動が楽になるかもしれない。その代わり、また今夜は頭痛との戦いになるのだろうが…。
by organic-cambio
| 2009-10-16 18:00
| 旅行記
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