秋が深まって、そろそろ薪の準備をする時期になりました。我が家では冬の暖房は薪ストーブがメインなので、毎年300束ほどの薪を使います。薪の1束は一定の長さ(長さは忘れちゃった)の番線を結んだ輪の中に詰めたもの、と決まっています。だから基本的にどこでも1束(または1タガ)当たりの量は同じ(はず)なのですが、木の種類によって微妙に値段が違います。
一番高いのはナラ。小さなドングリが生る木ですね。硬くて目が詰まっているので火持ちがいい。1束あたりの目方も重くなります。その次はサクラ・ニレ・アカシアなどの広葉樹で雑木とも呼びます。ナラに比べると2割ぐらい安い。一番安いのは間伐材などの針葉樹でナラの半額ぐらい。
我が家はビンボーなのでナラなんて高い薪は買えず、いつも雑木です。別荘地などに住んで薪ストーブをおしゃれに使いたい人は、高くたってナラでなければ薪ではないと思っている人もいるらしい。だからそのうちナラばっかりが伐られて、山からナラの木が無くなってしまうかもしれない。
そもそも薪ストーブは、燃えるものなら何でも燃やせるわけなのだから、ナラだろうが竹だろうが薪は何でもいいのです。我が家では近くの大工さんから建築材の切れ端や、製材所の切れ端から、果てはコンバインを買った近所の家から、いらなくなった田んぼのはざ棒やはざの足までもらってきて薪にしてしまいます。木であれば何でも燃やして暖をとれるのが、薪ストーブの長所なのです。
薪ストーブを使い始めた15年ほど前は、山梨にあるサントリーの工場からウィスキーの樽材を、1トン以上入るコンテナ1杯で今では信じられない値段で譲ってもらえました。ホワイトオークなんていう薪にするにはもったいない材で、まだウィスキーの香りが沁み込んだままで家の中に運び込むといい香りが漂ったものでした。今でも鏡板は庭にどっさり積んであります。
やがてウィスキーが焼酎に押されて売れなくなり、樽材をもらいに行っても取り合い状態になりました。樽工場の人に「もっとウィスキー飲んでくれなきゃ薪も出ないよ」などと言われて間もなく、樽材はまったく手に入らなくなりました。どうやら家具メーカーが目を付けたようで、ウィスキーの樽を使ったという触れ込みの高級家具に化けてしまったようです。思えばぜいたくな薪でありました。
来週は、薪ストーブで火事になりそうになったお話を・・・。