このところ八百屋一家では、真冬だというのにカメムシで大騒ぎ。
カメムシは秋が深まると物陰に隠れてひっそりと冬を越します。庭に積んである薪の隙間はそんなカメムシの越冬場所に最適なので、薪には無数のカメムシがへばりついています。そんな薪を家の中に運び入れるとカメムシも一緒に家に入ることになります。薪はくべるまでの間、暖かいストーブのそばに置かれます。すると目を覚ましたカメムシは、春のような陽気にうれしくなって歩き出します。人間の目の高さから見れば床と同じ色のカメムシは限りなく保護色に近いので、歩きながら床のカメムシをよけるのはほとんど不可能です。
ご存知のようにカメムシは身に危険を感じるとくさい一発を放ちます。その臭いは家で「人間カメムシ」と呼ばれる八百屋のオヤジの一発とは違い、危険を及ぼした物体に付着していつまでも臭います。ごろりと床に寝そべって本を読んでいて、姿勢を変えたとたんにカメムシをお尻でつぶしたりしようものなら大騒ぎ。一晩で3回も靴下を履きかえる羽目になった末娘はカメムシ過敏症。ノートの間にカメムシが入り込んだ、教科書の上をカメムシが歩いた、と宿題の言い逃れにまでカメムシが登場する始末。
薪と一緒に入り込んでくるのはカメムシに限らず、新聞の活字が歩き始めたと思ったらテントウムシだったり、ブンブンとイトトンボが食事中にテーブルの上空を旋回していたり、なかなかにぎやかな冬の夜です。
2004/1/27