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2日続きの雨であった。しかし、その雨量が県内各地で5月の観測史上最大雨量を更新したことを知ったのは、家に帰り着いてからであった。新緑に風薫る5月のカードの裏側には、激しい雨風のメイストームが潜んでいるのである。
この月曜が雨になるであろうことは予め分かっていたので、早々と雨の日向けの行き先を用意して待ち構えていた。安曇野のパン屋「コッフェル」の荷に入っていた古新聞に、南木曽にある洋館が載っていたのである。妻籠宿の一角に明治の中ごろに建てられた御料林管理事務所だったというその洋館は、なんと中に留置場まであるというので興味が湧いた。今は移築されて、木曽川に架かる桃介橋のたもとで「山の歴史館」として公開されている。 伊那谷から権兵衛トンネルで木曽谷に抜け19号を川下へ下って行く。雨は小止みになってきたが、上松を過ぎて木曽川のほとりを走るようになると、川の濁流に目を奪われた。大増水である。大蛇がのたうちまわるような奔流なのである。 国道で桃介橋をくぐり、山の歴史館に向かう橋の上から、巨大な茶色い大蛇を望む。橋の上に車を止めて降りようとすると、後ろから「なんでこんなところに止めるのよ…」というカミさんの恨めしげな声が聞こえた。この絵には見えないが、ちょうど絵の中ごろの上に大きな吊り橋の桃介橋が架かっている。この暴れ狂う大蛇の上を吊り橋で渡れるなんてなんという僥倖なのだ、と私は嬉しくて仕方がないのだけれど、すでに恐怖に駆られて車から一歩も降りようとしないカミさんの前では、とてもそれを口にはできなかった。 100年余を経た洋館の佇まい。窓や軒下の装飾、玄関柱のレリーフなど、皇室の御料林を管理するための建物だっただけに、手の込んだ装飾が施されている。中には木一本首一つと言われた時代の留置場が本当にあった。 こちらは福沢桃介が建てた別荘。今は桃介の記念館になっている。熱心に説明をしてくれるおばさんがいて、福沢諭吉の娘婿だった福沢桃介と、お妾さんの貞奴については随分と詳しくなった。明治という時代はやはりすごい時代だったと思うのは、大きな富を握った人のやることのスケールが、とてつもなく大きかったということである。 そしてこれが桃介さんが、発電所建設のための人や資材を運ぶため、大正11年に私財で架けたという桃介橋。コンクリートの橋脚は当時のままだが、木製の桁は平成になってから架け替えられた。今日はこの吊り橋で木曽川を渡ってみようというのだけれど、果たしてカミさんが渡れるかどうか・・・。このめったにない大増水中の、しかも吊り橋だぞ。7年前の夏に、やはり大増水中の四万十川の沈下橋でも、怖くてただひとり橋のたもとで待っていたくらいだから。 ・・・怖い・・・。絶対に揺れない橋桁の上で、カミさんの足は止まってしまった。橋はほんの気がつかない程度に微妙な揺れ方をする。踏み板の両脇からは奔流がのぞき見える。怖いから下を向くと、余計に怖い。橋の上から濁流をのぞいていると、吸い込まれてしまいそうになる。これは橋恐怖症のカミさんでなくても十分に怖い。 カミさんの手を引き、橋を渡る。足の下でのたうち回る木曽川大蛇。「あーっこわい!下が見える!吸い込まれる!あーっ揺れてる!落ちる!助けてー!」。絶叫も濁流の轟音にかき消されてしまう。途中でカミさんが橋を渡る姿を証拠写真としてカメラに収めようとしたのだけれど、「手を離したら離婚するぞ! 後ろから川に蹴落とすぞ!」などとありとあらゆる脅し文句を繰り出して威嚇し、握りつぶさんばかりの力で手を握って離さなかったので、果たせなかった。 無事真ん中の橋脚まで渡り終えて橋を振り返る。カミさんもここから先は橋の下が地面なので落ち着きを取り戻した。まあ、よりによってこんな日にこんな橋にやってくるとは、なんという巡り合わせなのだろう。この2日間の雨量は上流の御嶽山で300mm近くに達していたという。
by organic-cambio
| 2010-05-27 17:28
| 戯れ道中
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