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8月14日 信州~大阪~瀬戸大橋~高知市・・・その1
8月15日 高知市~土佐市~大野見村~窪川町・・・その2 〃 窪川町~沈下橋・・・その3 〃 沈下橋~西土佐村~中村市・・・その4 明るくなると旅立つバイクや車の音が相次ぎ、目が覚める。今日は送り盆の土曜日。今日中に家に帰って明日の一日を休みにあて、月曜から仕事を始める人が多いのだろうか。高速道路の渋滞情報も今日がピークの予想になっていた。昔は休みが日曜までであれば、日曜の午後が一番混むものだったが、今は一日裕をとる人が多くなったらしい。 6:30、テントに当たる光が柔らかい。昨夜の星空からすれば、朝の日差しが照りつけてもおかしくない時間だ。おかしい。テントから出ると、空は全面曇っている。オヤジは星空=晴れとはならなかったことに落胆して、重い気持ちで空を眺める。今日と明日はサンゴに熱帯魚が群れるという海に、シュノーケルで潜ろうという予定だ。またしても雨と対峙することになるのだろうか。 大雨のおかげで寝不足だった子供たちはなかなか起きてこない。まだ寝足りないという顔でテントから出てきた佳代子は、『隣のテントの人たちが夜中に酔っ払ってうるさかった』と愚痴をこぼす。カヌーを車に積んだ学生風の連中のことだ。われらがテントからは50mほど離れているが、すぐ隣の家族連れの人たちはさぞかしうるさかったことだろう、と佳代子が同情する。 7:30、朝食。とりあえず雨は降りそうにないので、ブルーシートをはずし開放的な空の下で食べる。子供たちも口々に隣のテントのうるささを訴える。自分たちが大人になったときに昨夜のような迷惑をかけないようにしなさい、と佳代子が説く。 9:00、四万十川のテント場を出発。土佐清水に向かう。空はどんよりしている。嶺のケータイで天気予報をチェック。今日も『曇時々雨』だ。雲の画像では九州の宮崎あたりに強い雨雲がある。まずい。雨を降らせる前線は、南西から北東に延びている。南西の宮崎で降っているということは、同じ線上にあるこのあたりもやがて雨になる可能性が高い。『父ちゃん、今日は海で泳ぐよね』 杜里に念を押され『うん、泳ごうな』と答えたものの、実現するかどうか確信はもてない。 国道に面している「野鳥の森公園」でトイレに駆け込む。テント場にトイレがなかったので、全員朝のお勤めが済んでいないのだ。さっと用を済ませたオヤジが野鳥の森の案内板を眺めていると、しばらくして長い間個室にこもっていた佳代子が、苦痛にゆがんだ顔でトイレから出てきた。『お母さん、大丈夫!』 杜里が心配して佳代子に駆け寄る。今まで誰もツアー中に体調を崩して病院に駆け込んだりしたことはない。ツアー3日目、さあこれからという時に一体どうしたというのだ。『どうした、大丈夫か・・・』オヤジも駆け寄り体を支えようとすると、佳代子は絞り出すような声で言った。『う、ううっ、足が・・・足がしびれた・・・』 道は足摺岬へと向かっていくが、空模様を見ながらすぐに泳げそうな海岸へと向かう。とりあえず雨が降り出す前に泳いでしまうほうがいい。足摺岬の周辺は切り立った海岸線なので、泳げるところはない。土佐清水の手前から竜串の海岸へ。ここはテーブルサンゴに熱帯魚が群れるという海だ。ダイビングスクールやサンゴの博物館などがひしめいている。 10:30、磯と砂浜が隣り合っているところで泳ぐことにする。時々薄日がさすが、沖には黒い雲。どれだけ天気がもつかわからないが、今がチャンスだ。嶺と渓はシュノーケルをつけて岩の周りをもぐる。杜里は浮き輪を持って砂浜へ。オヤジもシュノーケルでもぐってみるが、水が濁っていて視界が利かない。浜にはサンゴのかけらが砂に混ざって散らばっている。白い管が絡まりあったサンゴや、赤い軽石のようなサンゴが無数にある。 浜から500mほど離れたところには「足摺海底館」があり、観光客が群れている。珊瑚や熱帯魚が泳ぐ海底まで階段で下り、窓からのぞくことができるという。佳代子は『あそこに行ってみたいなあ』という。オヤジは『海で泳いでいるのに、わざわざあんなところに行くことはないだろう』と素っ気ない。観光バスが何台も止まって、団体客が列をなして歩いているのが見える。オヤジにはきれいな魚やサンゴが見られるとしても、傍若無人を絵に描いたような団体客と一緒になるのが耐えられないのだ。 11:30、沖の黒い雲が浜まで迫り、山から一陣の風が吹き降ろした。雨の合図だ。わずか1時間しか泳ぐことができなかった。浜から引き揚げる。あっという間に雨は土砂降りになった。シャワー室の脇に洞穴のような場所があり、一人の少年がベンチに座ってラジカセを聞きながら、外の雨には目もくれずに無心に座布団をスティックでたたいている。家では家族に『うるさいから外でやれ』といわれるので、こんなところでドラムの練習をしているのだろうかとオヤジは勝手に想像したが、前を通るときによく見ると、彼は「監視員」という腕章を巻いていた。 全員が着替え終わると、皮肉なことに雨が上がった。傘をもって奇岩が乱立する竜串海岸を歩く。たくさんの化石を抱いた砂岩が海に侵食された、自然の造形だ。歩く一歩ごとにゴキブリのようなフナムシがざわざわと逃げる。奇岩が作り上げた潮溜まりには青いネオンカラーの魚が泳ぎ、ナマコが子供たちに傘でつつかれて膨れ上がる。 12:30、海岸近くの民宿で食事。かつおのたたき定食など。その辺の磯から採ってきたようなムラサキ貝の味噌汁がうまい。あわびのミニチュアのようなトコブシも、レジでタバコをくわえて高校野球を見ているおじいさんがとってきたものに違いない。そんな海のC級グルメを、知らないものは絶対に口にしない渓が残す。さっさと自分の分を食べ終わって、箸を持って待機中のオヤジがトンビのようにそれを奪う。 相変わらず不安定な天気に、車を竜串から宿毛に向けて走らせながら午後をどう過ごすか迷う。「足摺海底館」の前を通るとき、もう一度佳代子が『寄っていかないの?』と念を押す。オヤジはもう一箇所、シュノーケリングのできる海に立ち寄ることを考えていた。『寄らない』 迷わず答えたオヤジは、柏島に向かうことにした。 宿毛へ向かう国道を左折し、細い山道を進む。木々に囲まれた道はガードレールもないが、薄暗いうっそうとした木が壁のように道に迫っているので不安感はない。常緑樹の細い幹が幾重にも分かれ、まるでジャングルのようだ。分厚い葉が陽をさえぎるために日中でも薄暗い。そうか、これが照葉樹林だ。常緑樹の中でもカシ・シイ・タブ・クスなどの広葉樹で、表面がつるつるとした木を照葉樹という。それらが密生した照葉樹林は、雪の積もらない海辺の暖かな地方に多く、信州にはほとんど見られない。信州の広葉樹といえばそのほぼすべてが落葉樹で、冬になると枯れ木のように葉が落ちてしまう。それに比べ、この照葉樹林は冬でもうっそうと葉が繁っているのだ。 薄暗いジャングルの中の細い道を、対向車に気を使いながら走る。この照葉樹林はジャングルのようであるがために、今は日本国内でも残り少なくなっているそうだ。昔は西日本の海岸線一帯がこんな林相であったらしい。ジャングルの中から突然バスが現れ、路肩ぎりぎりまで車を寄せる。ガードレールがないのは、仮に路肩を踏み外しても、照葉樹の密林が転落を防いでくれるからだろうか。 照葉樹林のジャングルを抜けると、道は柏島に下っていく。小さな港と立派な橋だけが目立つ島だ。橋のたもとに小さなキャンプ場があり、そのまわりでシュノーケリングをしている。海は透き通ってきれいだが、島の大きさに不釣合いな立派なコンクリートの橋が無粋だ。ここから船で沖合いへ出て、サンゴの海にダイビングするのがここの良さらしい。みなと周辺の海辺には岩カキがびっしりとついた岩ばかりで、一度ぬらした水着をもう一度着てでももぐってみようと思わせるものではない。 14:30、少し早いが宿毛のテント場に向かうことにする。再びジャングルの道に戻り、途中の展望台で車を止め、照葉樹林の中から「大堂海岸」を見渡す。太平洋の荒波が打ち付ける奇岩絶壁の海岸は高さ30mくらいまで草木もなく、陸からも海からも近寄る手立てはない。こんな海岸の険しさに守られて、ここの照葉樹林は今も残っているのだろう。 つづく
by organic-cambio
| 2010-08-15 18:57
| ビンボーツアー
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