なんてこった。恐れていたことが始まってしまった。「茨城産ホウレンソウから基準を上回るヨウ素を検出」というニュースが流れたのが19日の夕方。20日の朝には、茨城産の葉物やキノコなどを一斉に店頭から下げて、この看板を書く破目になった。
われらが店は、冬場の葉物は茨城が主産地だ。ほうれん草、小松菜、京菜、ちぢみほうれん草、リーフレタス、菜花、ルッコラ、ベビーリーフ。きのこだってほとんどが茨城だ。ぜんぶ下げると、店の棚はずいぶんさびしくなってしまった。さいわい、大根、キャベツ、ブロッコリなどが愛知の渥美半島、ピーマン、パプリカ、インゲンなどの夏野菜がはるか沖縄から入っていたので、何とか店の恰好はついたものの、緑の葉物がないのはやっぱりさびしい。
同じ茨城とは言っても、ほうれん草からヨウ素が検出された高萩市からは80km、問題の原発からは180kmも離れている。多少の風評被害があることは覚悟していたが、ひとくくりに茨城産という報道には、報道被害の感を拭えない。
しかし、しかしなのである。
前回のブログ記事に書いたように、放射線を侮ってはならない。しかも放射線を浴びるのではなく、放射性物質(放射能)を体内に取り込むことは絶対に避けなくてはならない。体内に放射性物質が留まって、放射線を出し続ける体内被曝に陥るのは最悪の事態である。その原因をわが店が売ったホウレンソウが作ることになっては、絶対にならない。
そう考えると、もう何も迷う余地などない。検査結果でシロと判定されるまで、茨城産で原発事故以降に収穫されたものは、残念だけれども販売できない。今のほうれん草が汚染されている恐れは低いと思うのだけれど、「・・・と思う」だけで売るのは、「直ちに健康に影響を及ぼす量ではありません」と繰り返す報道と同じではないか。
そして、多くの人が気づいているように、またここでも大きな疑問が湧いてくるのである。
ほうれん草が汚染されているのに、そこに住んでいる人たちは大丈夫なのか、と。
ほうれん草は出荷停止になったのに、住んでいる人間はなぜ避難しなくていいのか、と。
検出された値が低いとか、食べたってCT検査の数分の一の量だとか、何とか騒ぎにならないように物言いをこねくり回しているけれど、要するに放射能汚染が具体的になってきたということだ。
覚悟を決めねばならぬ。
OH! POPEYE! たくさんのほうれん草が畑で泣いているよ! 助けておくれ!