イベントを主催している立場上、毎年数回はマスコミの取材を受けます。彼らは取材の最後に必ず年齢を聞いてきます。昨年までは何も気にならずに答えていましたが、還暦を超えた今年は一瞬の戸惑いを覚えるようになりました。サバを読んでしまおうかと思うこともありますが、それもみっともないので正直に「60になりました」と言うことにしてます。女性は嫌だろうなぁ、バレちゃうもんね。
今年の誕生日前後は、柄にもなく還暦クライシスに陥りました。同学年のまじめな勤め人たちは誰もが定年を迎え、再任用や再就職という大きな節目を迎えていました。その一方で何も変わらずに仕事を続けられる自分に節目は何もないものの、いつまでたっても財産には-が付いていて不安定なまま。昔はビンボーを取り柄だと思っていましたが、さすがにそうも言っていられない。不安だったのです。
みんなが一線を退くころになって焦り始めるところは、みんなが受験先を決めて模試を受けるころになっても「オレは大学なんか行かない」と言っていた時代と何も変わっていません。何をやるにもみんなと一緒というのができず、一歩遅れてあたふたとしている。そんなところは変わることはないので、きっと死ぬのもみんながいなくなったころになる、と楽観的に考えて乗り切ることにしました。
いま生まれた子供たちは100歳まで生きるそうです。確かに今の医療と衛生状態と豊富な食糧があればそうなるかもしれない。今の男性の平均寿命が80歳を超えていて、それより一歩遅れて進んでいる上にノーテンキなおかげでストレスが少ないから、自分はきっと2割ぐらい長生きするだろう。キミたち勤め人はストレスに苛まれた補償として退職金をもらったのだ、などと嘯いたりしてみる。
80歳の2割増しだから100歳近くまで生きるとして、いま現在の位置を考えるとまだ全体の60%しか進んでいない。1年に例えると夏の盆休みのあたりを進んでいるのだから、まだ冬に備えるには早すぎる。そう考えたらまだやるべきことがたくさん見えてきた。ずっと晩生で来たのだから最後まで晩生で通すのさ。とか言いながら霞む眼をこすりつつ、真っ暗な朝4時半から本を読んでます。