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JRのあずさ回数券が廃止になることが大きなニュースになりました。けっこう利用していた人が多かったんですね。ワタシも東京に行く時はバスではなく回数券であずさに乗ってましたから、その手が使えなくなるのはイタイ。駅前に回数券を1枚から買えるチケットショップの自販機まであって、これじゃ回数券の意味がないから、JRは近々何かしら手を打ってくるだろうとは思ってましたけど。 今後はあずさの車両が新しくなることで、座席の販売状況が車内にリアルタイムで表示できるようになるようです。車掌が回ってきて切符を拝見、なんてことはもう昔の話。今はJRもバスや飛行機の路線と競争がありますから、乗客を増やして収益を上げることが課題なのです。バスと価格競争するために設定していた回数券は、誰でも安く乗れる抜け穴的な存在なので早くやめたかったんでしょう。 3月からは2週間前までにネットで予約すれば、今の回数券よりも安く乗れるようになるそうです。それは航空券と同じく早く乗客を確保する手段で、収益の向上や競争には有効でしょう。飛行機と違って列車には途中に停車駅がたくさんあるから、座席を管理するシステムと車両に座席の利用状況が表示できるシステムができたことで、座席の販売を戦略的に変えることができるようになるわけです。 しばらくは新しいことに戸惑う人が多いでしょうが、今後はもっと違う切符の価格や販売の方法が出てくるんでしょう。こうして世の中はどんどん変わっていくんです。昔、東京の駅で券売機を前にしてお財布を持ったまま途方に暮れていたおばあちゃんの姿を思い出します。スイカを持っていないワタシが新しく開通した地下鉄の駅に向かうと、あのおばあちゃんのように券売機の前で絶句するかも。 鉄道会社には線路という重い設備が必要な一方で、バス会社は線路に相当する部分を道路という公共設備を利用できるので価格的に有利です。そこで線路を道路と同じように公共設備として、そこに複数の列車運行会社が利用するという形になったら、鉄道という乗り物の形態は大きく変わるでしょう。それは上下分離方式とか、いろいろな方法が協議された経緯はあるようですが、簡単には成就しない。 例えば飯田線はJR東海の路線ですが、収益には貢献していないから公共交通としての義務を果たすだけしかJR東海は投資をしていない。これを伊那谷だけの範囲で運行する地域鉄道化したら、今の運賃では絶対に採算は取れないけれど、存在価値は全然違うものになるでしょう。3セク鉄道で儲かっているところはないと言われるけれど、存在価値が変わると利用の仕方も大きく変わるものです。 今あるインフラや社会構造をこう変えたらどうだろうという発想は、社会を取り仕切る支配構造に住む人たちが最も不得手なことです。言い換えるとジジイには思いつかない荒唐無稽なことです。これからを暮らす人たちの世界を、もうすぐ死ぬ人たちが自分たちの価値観で仕切っている。こんなバカなことが続いていく限り、この国も地域も新しいことを先取りするなんてことができるわけがない。 熊本や長崎などの街を旅して歩くと、路面電車の存在が街の成り立ちに大きく関わっています。どこも経営的に楽だとは思えませんが、人が移動する手段としての鉄道はもっと見直されていいと思う。熊本や長崎と諏訪や伊那谷では人口集積が比較になりませんが、全国で路面電車のような交通が見直される機運もあります。諏訪や伊那に独自の地域限定列車が走ることを夢想するのも、面白いでしょ。
by organic-cambio
| 2018-11-13 15:40
| 店主の雑言
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