子どもが生まれて4か月でこの仕事を始め、6年間仕事をさせてもらった青梅の店にいる間に子どもは3人に増えました。毎日12時間以上は仕事をしていたので、家に帰るともう子供とカミさんは寝ていることがよくありました。4,2,0歳を風呂に入れてごはんを食べさせて寝かしつけるのは、ほとんど動物園のような状態。一緒でなければ子どもは寝ないから、寝ちゃうのは仕方がないんです。
二人目の長男が生まれてまだ半年のある日、カミさんはおむつを替えている時に息子の肩が異様に腫れているのに気が付きました。近くの医院に連れて行くとすぐに総合病院に転院して検査となり、そのまま半月以上も入院生活となりました。細菌性の関節炎だったので、点滴で抗生剤を送り込んでの治療。まだ6か月ですから点滴なんて外しちゃうし、一日何度もおっぱいを飲ませなきゃならない。
カミさんは24時間体制で病院に付き添いです。親が寝るためのベッドなんてないから、長椅子の上でゴロリとなるだけ。ちょうど今の季節だったので病院でクリスマスを迎えることになり、看護師がキャンドルを灯してクリスマスキャロルに来てくれたのが印象的だったそうです。暮れの30日に退院できることになって、正月は家に戻ることができましたが、小児科の入院って親には過酷なんです。
信州に来てからもう一人子どもが増えますが、ジジババもやって来てカミさんは毎日8人分の食事を作らなくてはならなくなった。大変な暮らしでしたが、悲壮感がなかったのはカミさん自身が5人姉弟の一番上だったことや、青梅の動物園状態の毎日や入院の経験が生かされていたはず。それで父親は何をしていたのかって? 仕事が面白くて毎日一生懸命で、家では酔っ払いを演じていただけです。