最近は起業や小商いなどの自営業が注目されていますが、仕事の内容や規模や立地などの条件よりも大事なことは、すべてを自分で決めて結果を引き受けなくてはならないということです。勤めであれば一定の時間をこなすことで給料が支払われる仕事もありますが、自営業は結果を出さなければどれだけの時間を働いても食っていけません。だから自分で決めることは、ベストでなければならない。
何でも自分で決めることが身に付くと、厄介なことも起きてきます。社会はいろんな人で成り立っているから、自分がベストだと思ったことが社会や他人にとってはベストではないことが多々あります。それを割り切らないと、自分とは違う考え方にストレスを感じることになります。組織で仕事をしてきた人は、物事の落としどころや立ち回り方を心得ていますが、自営業は一人で突っ走ろうとします。
常にベストの仕事をするというと凄いことのように聞こえますが、大したことではなくて、手を抜いた仕事をするとすぐにお客さんに見限られるだけなのです。だから常に自分に緊張感を持たせなくてはならないのですが、人間ですからときどき気が抜けます。不本意な結果に見舞われた時は、自分のどこに足りないところがあったのかを検証します。そして改善したり、さらに前に進んでみたりする。
結果は常に良ければうれしいのですが、いろんな理由で波を描きます。下降線は不本意で辛いのですが、緊張感を持つためにときどきあった方がいい。コロナ禍で厳しい局面にある業態の人には叱られそうですが、不本意な局面は仕事を洗い直してくれます。今年も山があり谷があり、いろんな局面に晒されました。そんな自営業をそろそろ卒業しなくてはならないのですが、楽しくてやめられません。