今年は桜が咲くのが例年より2週間ほど早く、店前の八重桜の並木もいつもなら5月連休が見ごろなのにもう咲き始めました。やがて大量の花びらが舞う桜吹雪がやって来ると掃除が大変なのですが、一年のうちほんの一週間ぐらいですから風物詩として許せます。桜は花が綺麗なので大事にされますが、けっこう管理に手がかかる木です。事情で伐ることになると感情が絡んで面倒なことも起きます。
八重桜並木はちょうど店の向こう側で3本分ぐらい途切れるのですが、これはかつて交差点に信号がないころに事故が相次いだため、見通しをよくするために伐ったそうです。われらが店の大家さんがその時の区長として決断されたそうですが、大変な苦情を受けたと話していました。その一方では花弁と枯葉の掃除が大変だから伐って欲しいという要望もあって、人間は勝手なものだと思わされます。
私が住まいのある地域で総代を務めた時期にも桜の木を伐る話があって、大家さんの話を思い出して慎重にコトを進めました。個人的には木を残したかったので抵抗を試みましたが、結果的にはそれが伐ることに反対する人を説得する材料になるという皮肉な結末に。すったもんだの末、今年の開花目前にして、妨害に備えて町の顧問弁護士が立ち会う中で、樹齢70年の桜を伐ることになりました。
桜の木を個人宅の庭に植えることがないのは、虫や病害で管理に手がかかるからだそうです。道路や土手の並木、あるいは公園や会社の植栽ばかりなのは管理する費用を行政や会社が負担するからです。管理は人任せにして花だけを楽しみ、伐るとなれば反対運動が起きるところも桜は人間の勝手を象徴するような木だと思います。パッと咲いてパッと散るのがいいって、戦争の美化にも利用されたし。
