晩めし時に他愛のないことをしゃべっていたら、ふと今の店に移転して今月で20年になることに気が付いた。そうだ、移転したのは2005年の10月だった。だけど、何日だったかが思い出せない。カミさんがさっそく古い資料を開いて調べたら、18日だった。そうか、またしても節目がやってきたのだ◆移転するきっかけは銀行だった。ある日、銀行の支店長が新任のあいさつに来た。その時にたまたまお買い物中だったのが、諏訪を代表する大企業の社長夫人だった。趣味を通じて知り合いだったらしい支店長と社長夫人は、しばらく店の中でクラシック音楽の話で盛り上がっていた◆たまたまの出会いで、きっと支店長のわれらが店への心象は爆上がりしたのであろう。数日後に銀行の担当者がやってきて、もっと広い場所に移転するならお手伝いしますのでご検討ください、と言ってきた。棚から牡丹餅が落ちてきたのだ◆それから移転先の店探しが始まったのだが、なかなか良い物件が見つからない。いまの店の物件が空いているのは通りがかりに知っていたが、あまり使いやすい物件だとは思えなかったのだ。ところがある日突然、閃いてしまった。市役所から大きなスーパーやホームセンターが並ぶ幹線道路沿いだ。ここかもしれない。銀行の担当者に物件を調べてもらうと、同じ銀行の別支店の取引先物件だった。銀行経由で話を進めてもらったので店子としての信用は抜群で、契約も直に交わすことができて保証金や手数料もなし。棚からおはぎも落ちてきたのだ◆以前の店では何から何まで手探りでやってきて14年目になっていた。その時は小さな店でずいぶん長いことやってきたと思っていたのだが、それからまた20年も経ってしまった。今の店に移転して14年目に2階に八百屋の食卓を作ったのだから、おおよそ7年周期で転換期がやってくるという説は当たっているのかもしれない。だとすると来年あたりにまた何かが始まるもかもしれないのだけど、どうする?